2017年4月6日

 

企業は業種や業態に応じた帳簿を作成しなければなりません。帳簿には必要な事項を漏れなく、明瞭に記録しなければなりません。それには、各帳簿の意味と役割を理解しておく必要があります。

 

●必要な帳簿

 

事業者(会社および個人事業者)が最低限揃えなければならない帳簿は次のとおりです。

 

売掛帳

買掛帳

現金出納帳

預金出納帳

仕訳日記帳(振替伝票、入金伝票、出金伝票)

総勘定元帳(補助元帳)

 

事業活動の結果として生じた、「入出金(現金と預金の変動)に関連する」すべての出来事はこれらの帳簿のどこかに記録されます。そして、その記録が決算書(貸借対照表と損益計算書)の基礎データとなるのです。この帳簿という基礎データの正確な記録なくして正確な決算書を作成することはできません。また、決算対策や節税、経理データの経営への活用もできません。

 

●売掛帳(売上帳、得意先元帳などとも呼ばれる)

 

売掛は「うりかけ」と読みます。

 

販売の記録です。「いつ」「だれに」「何を」「いくらで」売り、代金を「いつ」回収したかを記録する帳簿です。記録と計算は「だれに」という単位でします。「どの得意先に」、「どれだけ販売したのか(請求したのか)」、「入金されたのか」、「入金されていない金額はいくらあるのか」がこの売掛帳から判明しなければなりません。

 

●買掛帳(仕入帳、仕入先元帳などとも呼ばれる)

 

買掛は「かいかけ」と読みます。

 

仕入の記録です。「いつ」「だれから」「何を」「いくらで」買い、代金を「いつ」支払ったかを記録する帳簿です。記録と計算は「だれから」という単位でします。「どの仕入先から」、「どれだけ仕入れたのか(請求があったのか)」、「支払ったのか」、「支払っていない金額はいくらあるのか」がこの買掛帳から判明しなければなりません。

 

●現金出納帳(金銭出納帳とも呼ばれる)

 

出納帳は「すいとうちょう」、金銭は「きんせん」と読みます。 

 

事業において保有している現金(硬貨と紙幣)の増減(日付、金額、内容)と結果としての残高を記録する帳簿です。事業活動の結果の多くは現金の動きとして表れますので、この帳簿を正確に作成することは非常に重要なことです。

 

中小零細企業では、現金が特定の場所に保管されていないことがあり、現金出納帳の残高と実際の現金残高を照合するのが難しいことがあります。また、代表者がポケットマネーで事業関連の支出を立て替え払いすることもめずらしくありませんので、現金出納帳に表れない出金があります。簡単なように思えて、いざ作成してみると様々な疑問や不審点が湧き出してくるのがこの現金出納帳です。現金残高が異常に多い、現金残高がマイナスになるといった状況も決してめずらしくはありません。

 

●現金管理の要領

 

現金は「変動(出入り)」します。変動の結果として現金の残高も変動します。この現金の変動を把握することを「現金管理」といいます。

 

・現金の保管場所を定める

これが現金管理のスタートです。通常は手さげ金庫に保管し、さらにそれを強固な大型金庫に格納しておきます。

 

・現金が変動する際にはその理由を明らかにしておく

現金が変動(出入り)する際には、個々の変動ごとにその理由を明らかにしておく必要があります。「4月10日・コンビニで切手を購入した・500円」「4月12日・ドラッグストアでゴミ袋を購入した・300円」といった具合です。

 

・現金が変動した理由を速やかに現金出納帳に記録する

現金出納帳は「日付」「現金が変動した理由」「変動した金額」「変動後の残高」を記入するという形式になっています。

 

・現金出納帳の現金残高が実際にあるかを確認する

手元にある硬貨と紙幣を数えます。現金出納帳の記帳が正確であれば現金出納帳の残高に一致します。この作業は毎日行う必要があります。

 

●預金出納帳(銀行帳とも呼ばれる)

 

金融機関に開設している預金口座の増減(日付、金額、内容)と結果としての残高を記録する帳簿です。現代社会において預金口座を利用しない事業などまずはありません。事業活動の結果である貨幣の動きのほとんどは預金口座で生じますので、この帳簿を正確に作成することは非常に重要なことです。なお、この預金出納帳は預金口座ごとに作成します。

 

通帳があれば預金出納帳は無用に思えるかもしれませんが、通帳では入出金の額しか記載されていない行があるので、これを預金出納帳で入出金の内容を明らかにしておく必要があるのです。

 

●仕訳日記帳と総勘定元帳

 

複式簿記の最小単位は「仕訳」です。これを明示し保存しておく帳簿が仕訳日記帳ですが、仕訳日記帳に替え伝票で保存してもかまいません。仕訳は「勘定科目」ごとに集計しなければなりません、この帳簿が総勘定元帳です。

 

●帳簿をパソコンに保存する

 

認められます。しかし、そのための要件は相当厳格です。詳しくは国税庁サイトの「電子帳簿保存法について」をご覧ください。

 

●業種や業態による帳簿の違い

 

企業の一連の活動を記録する帳簿の体系は業種や業態によって違ってきます。例えば、仕入れのない業種(サービス業など)では買掛帳は不要です。得意先件数が極めて少ない場合には、改まった形式での売掛帳ではなく、請求書の控をファイリングすることで売掛帳とすれば十分です。

 

多くの企業は試行錯誤の後に帳簿体系を確立しています。また、環境が変化すれば帳簿体系や帳簿の記載内容も見直さなければなりません。このあたりについては、会計事務所という専門業者に相談するのが効率的です。「無駄な作成や記載」と「闇雲な省略」、これが恐ろしいのです。