2017年4月6日

 

勘定科目は会社や担当者によって異なります。勘定科目の決定には、会計・税務の知識だけでなく、対象となる事象に対する理解が必要です。唯一絶対的に正しい勘定科目はなく、自らの判断で決めなければならないのです。

 

●勘定科目の決定にあたっての注意点

 

1.同一の仕訳については以後も同一の勘定科目を使用する

 

(例)ガソリン代

旅費交通費、消耗品費、車両費いずれでもよいのですが、一度用いた場合は以後も同一の勘定科目で処理しなければなりません。そうでないと事業年度や月ごとの比較ができません。

 

2.できるだけ特殊な業界用語や略称を勘定科目として用いない

 

外部第三者が理解に苦しみますので、他の表現が見つからない場合以外は避けてください。

 

3.必要に応じて勘定科目の新設、廃止・統合をする

 

新たな取引、今までは金額が少なく適当な勘定科目に含めていた取引の金額が多額となった場合には勘定科目の新設をしてください。反対の場合は勘定科目の廃止・統合をしてください。なお、この場合上記の1.が守られなくても仕方ありません。

 

4.内部管理用(試算表など)の勘定科目と外部報告用(決算書)の勘定科目はできるだけ統一する

 

両者が一致しないこともあります。その場合は、「組替表」を作成し内部管理用の勘定科目と外部報告用の勘定科目の関連を第三者に説明できるようにしておいてください。

 

5.消費税による区分

 

同一勘定科目でも、消費税の課否区分(課税対象になるか否か)が必要となります。

(例)交通費・・・国内は課税対象、国外は対象外

特に消費税の申告を原則課税にしている場合はこの区分が大切です(簡易課税の場合には消費税区分の対象は収益勘定が中心となります)。

 

6.勘定科目の正確性は経営分析の精度に影響する

 

自己資本比率、損益分岐点、回転期間、流動比率、各種利益率などの経営指標は、正確な勘定科目分類のみならず、資産と負債の流動と固定の区分、損益計算書の計算プロセスが正しく表示されていて初めて意味をなします。「最終の利益さえ・・・」と、つい考えてしまいますが気をつけてください。

 

●貸借対照表関連の勘定科目について

 

1.定期的に残高を検討する

 

貸借対照表関係の勘定科目は「増加」と「減少」を積み重ね、結果として一定時点(月末や年度末)に「残高」として表われます。この残高は預金残高ならば預金通帳、売掛金ならば未入金の請求書の控などと一致しなければなりません。しかし、一致させるのが困難なことも多く、最悪の場合「内容不明」の勘定科目残高が貸借対照表に計上されたままのこともあります。

 

当年度末の貸借対照表は、翌年度期首の貸借対照表となります。「内容不明」の勘定科目もそのまま繰越され、半永久的に「未解決」であることも珍しくありません。貸借対照表関係の勘定科目については、増減を正確に捉え定期的にその残高の正確性を検証しておく必要があります。

 

2.「貸借関係」は「会社を基準」に

 

貸付金、借入金、立替金、預り金など、貸借対照表関係の勘定科目では様々な貸借関係が背後に存在します。その際、あくまでも会社を基準に考える必要があります。なぜならば、会社の帳簿だからです。「会社から○○に貸した(貸付金)」「会社が△△から借りた(借入金)」「会社が▽▽の分を立て替えた(立替金)」「会社が◇◇から預った(預り金)」と考えなければなりません。特に中小零細企業の場合、代表者と会社の貸借関係が多いですので注意が必要です。

 

3.補助勘定と補助簿の作成

 

預金、売掛金、買掛金、借入金など、出入りの多い勘定科目については必要に応じて補助勘定を設定します。そうすれば残高の検討もしやすくなるかと思います。また、財務会計ソフト(試算表)の中で全てを処理するのではなく補助簿の活用も必要です。補助簿とは、試算表とは直結していないけれども、ある取引を詳細に記録した帳簿です。個々の得意先ごとの「売掛帳」、個々の手形の詳細を記録した「手形帳」などがこれに該当します。補助簿は、貸借対照表関係の勘定科目の内容を検討する際に大変重宝します。

 

●損益計算書関連の勘定科目について

 

1.当期利益算出のプロセス

 

損益計算書は、当期利益を算出するプロセス(売上総利益、営業利益、経常利益、当期利益)を表示します。しかし、実務上そのプロセスの区分は困難なことが多く、特に、売上原価を構成する製造原価の算出には、各費用の製造原価と販売費及び一般管理費の区分と精密な帳簿体系が必要です。

 

一般に中小零細企業では、製造原価と販売費及び一般管理費の明確な区分ができておらず、決算時に概算で、販売費及び一般管理費から製造原価に勘定科目を振り替えているのが実情です。これは、多くの費用が製造と事務・営業に共通して発生することによります。工場と事務所が同一場所にある場合の家賃、水道光熱費、福利厚生費などがこれに該当します。

 

2.消費税との関連

 

損益計算書関係の勘定科目は消費税と関連しますので注意が必要です。ほとんどの財務会計ソフトでは勘定科目ごとに消費税の初期設定(課税対象か否か)がされているかと思います。例えば、法定福利費(社会保険料と労働保険料)は非課税、福利厚生費(忘年会費用や従業員旅行代金など)は課税となっています。最終利益の計算や損益計算書の表示においては、社会保険料を福利厚生費に含めても問題ないかもしれませんが、消費税の納税額の計算においては誤りとなります。なお、特定の仕訳を入力する場合のみ初期設定を変更することもできるはずです。

 

 

勘定科目の一覧と解説、勘定科目についての基本的な考えは「勘定科目の一覧と解説」をご覧ください。

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