2017年4月6日

 

決算書と呼ばれるものが何を指すのか、決算書を構成する各表が何を意味するのか、各表相互がどのように関連しているのか、経営者ならば理解しておきたいものです。特に、貸借対照表と損益計算書の関係は重要です。

 

●決算書とは?

 

決算書とは税務署に法人税の申告書を提出する際に添付する次の書類です。

 

貸借対照表

損益計算書

販売費及び一般管理費明細書(損益計算書の一部である場合もある)

製造原価報告書(製造業の場合のみ)

株主資本等変動計算書・個別注記表

 

しかし、これだけで企業の内容を理解するには不十分ですので、金融機関などは決算書の勘定科目ごとの詳細(預金ならば銀行別・預金種類別、売掛金なら得意先別)を記載した「勘定科目明細書(これは税務署にも提出する)」、さらには計算された利益に従い申告納税をしているかを確認するために「法人税申告書」「消費税申告書」「地方税(道府県民税、事業税、市町村民税)申告書」の提出を求めます。

 

●決算は税務申告のためにする

 

わが国のすべての企業は記帳と決算を行い、その結果を税務署に報告しています。税務署が決算書の提出を求めるのは、法人税の計算が決算書の利益をもとに行われるからです。企業によっては決算書を金融機関に、上場企業の場合は広く一般に決算内容を公表しています。しかし、多くの企業は決算書の提出先が税務署だけですので、そのような企業にとって決算書は税務署のためだけに作成するといえるかもしれません。

 

それならば、「法人税がなくなれば決算書はいらない」のでしょうか。答えは、「ノー」です。そもそも決算書は企業の利害関係者(株主や債権者)のために作成するのです。法人税法は税額計算の便宜上、決算書を利用しているにすぎないのです。

 

●損益計算書と貸借対照表の関係

 

一事業年度(あるいは一定期間)で次の関係が成り立ちます。

 

・損益計算書(一事業年度という期間)

当期収益-当期費用=当期利益

 

・貸借対照表(一事業年度末という時点)

期末資産=期末負債+期首純資産(資本)+当期利益

または期末資産-期末負債=期首純資産(資本)+当期利益

または期末純資産(資本)=期首純資産(資本)+当期利益

 

一事業年度の企業活動の結果、利益が発生し資産と負債が増減します。そして、期末の資産と負債の差額は期首純資産(資本)に当期利益を加算した金額となります。

 

●損益計算書と貸借対照表の利益はなぜ一致する?

 

誰もが抱く疑問です。これを理解するポイントは純資産(資本)という概念にあります。会計における純資産(資本)とは一定時点の正味の財産です。それは資産-負債、つまりプラスの資産(預貯金、売掛金、不動産など)からマイナスの資産である負債(借入金、買掛金など)を差し引いたものです。一方、利益は一定期間の収益-費用です。これは誰しも理解できることです。

 

ところで、利益の計算方法は「収益-費用」という方法以外にないでしょうか。利益を得たというからには財産の増加が必要です。一定期間の利益は、期間の終わりの財産から期間の初めの財産を差し引くことによって計算できます。つまり、期末純資産(資本)から期首純資産(資本)を差し引くことにより利益を計算することができるのです。

 

複式簿記では、損益計算書の構成要素である収益と費用、貸借対照表の構成要素である資産、負債、純資産(資本)の個々の増減を記録していきます。その結果、作成される損益計算書(収益と費用の累計の差し引き)と貸借対照表(資産と負債の残高とその差し引きとしての純資産(資本))とにおいては両者の利益が一致するという上記の関係が成り立ちます。

 

昨今では、記帳処理を財務会計ソフトで行います。どのソフトでも、そして誰が入力しても損益計算書と貸借対照表の利益は一致します。不可解かもしれませんが、とりあえず両者が一致するのが常識と考えてください。どうしても理解したい場合は複式簿記をマスターするしかありません。

 

●数期間の決算書を比較する

 

税務署、金融機関などは決算書を数期間分比較しながら企業内容を検討します。会計は企業活動の継続性を前提としています。会計期間(事業年度)はその継続的な企業活動を区切ったに過ぎません。最低3年の決算数値を比較しない限り企業の収益性や資産内容を理解することはできません。収益性の低下、売上債権の回収遅延、仕入債務の支払遅延。徐々に顕在化してくるのが通常だからです。

 

●決算対策

 

よく上場企業で「決算対策」という言葉を聞きます。この言葉はあたかも決算数値が政策的に作成されるかのような印象を与えるかもしれません。しかし、決算対策はルール無用に自社にとって都合のよい処理をするという意味ではありません。決算対策の類型としては次の二通りがあります。

 

1.自社に有利な会計処理方法を選択する

 

新規事象と合理的な範囲内の変更に限ることはいうまでもありません。

 

2.自社の決算数値が向上するような企業活動を事業年度末までに終了させる

 

利益をもたらす商談の確定、費用削減など。